バーズアイメイプルネック製作①

フィエスタレッドが素敵なFender Custom Shopのストラト。

 

こちらのネックをメイプル1ピースネックに差し替えるというオーダーをいただきましたのでその作業をご紹介します。

なぜネックを差し替えるのか?という疑問がある方も居られるかと思います。

 

それはこちらのスペックが故です。

 

・バーズアイメイプル1ピース

・22フレットつば出し指板

・ブラスリング黒蝶貝ポジションマーク

・ステンレスフレット

 

単純にバーズアイメイプルの指板だけご希望でしたら、元のネックの指板をバーズアイメイプルに張り替えるという選択肢がありましたが、打ち合わせを重ねこちらの仕様すべてをかなえる方法を、ということでネックの新規製作となりました。

 

では、作業のご紹介です。

先ずはネックを取り外し、同寸法の型を作ります。

グリップ部分は宙に浮いた状態になるので普通のペンを使うだけだとアウトラインが書けないので、お手製の道具を使って書いていきます。

マニア垂涎のバーズアイメイプル。名前の通り眼の様な模様が出ている希少なメイプルです。今回はその中でも特に希少な『眼』の模様がびっしりと入ったものを使用しました。

本家Fenderでもショーモデル等、豪華な仕様の楽器に度々使われます。

今回製作しているのは1ピースネック、つまり指板とネック材が同一の木材です。一般的な、指板とネック材を別々に製作し、接着する作り方とは工程が異なります。

 

ネック材全体の厚みを揃えた後は、角材の状態でフレット溝を切っていきます。

というのも、フレット溝がこのネックの寸法のすべての基準になるからです。

フレット溝が切り終われば、このネックのすべての位置の基準が出来たことになります。

それを元にトラスロッドの溝の位置決めをし、トリマーで加工していきます。

グリップ側から掘っていきます。

段付きのヘッド部分を落とした後、トラスロッドを通すための穴をヘッド側、ネックエンド側からドリルで開けていきます。

 

『絶対にここ!』という位置と角度があるので寸分のズレも許されません。

更に同心で別径の穴を開けなければならないのです。

 

今まで何本と1ピースネックを作ってきた信頼の治具(これももちろん自作です)があるのでセッティングさえ間違わなければズレることはありません。

次はツバ出し部分の加工です。

ネックエンド部をグリップ側から削り指板を『ひさし』のように残すわけです。

ベースプレートを外すとこんな感じです。(加工イメージ)

埋め木はウォルナットで作ります。通称スカンクストライプといわれるやつです。

クランプで埋め木を押さえ、接着します。

トラスロッドを入れるためにヘッド側から空けた穴もウォルナットで埋めます。

オリジナルのポジションマーク。真鍮のリングに黒蝶貝を嵌め込んでいきます。

指板に入れる位置もオリジナルです。ローポジションでは6弦側、ハイポジションでは1弦側です。

メイプル指板ではフレット打ちの前に指板面の下地塗装だけ済ませておきます。

 

次回はフレット打ちの工程からご紹介します!