北海道産木材を使うにあたって考えていること

最近は北海道産の木材を積極的に利用してギター製作を行っているのですが、たまに「輸入材についてアンチですか?」的な事を聞かれるのですが、全くそんなことはありません。

そんな感情を抱いても意味ありませんし、何なら必要とあらば今でも使っています。笑

(ABがあってAを支持した瞬間に二項対立になって、すなわちBの全てを否定!みたいなのってなんか違うんだよなーと思ってしまう今日この頃)

 

ではなぜ北海道産の木材を積極的に使っているかというと大きく分けると2つ理由があります。

 

 

1つ目は自分が作った楽器にしか出せない音色を追い求める為です。

木材の響きによって音色が変わりますから、こんなに樹種が豊富な北海道で活動しているのにそれを使わないなんて勿体無いとしか言いようがありません。

 

 

2つ目の理由は環境問題です。

輸入材は大型のタンカーで運ばれることがほとんどです。それにあたってCO2の排出が地元材に比べて多くなると思います。ただ、ここは落とし穴があって、僕くらいの少量の利用の場合、厳密に計算するとスケールメリットで勝る輸入材の方がCO2コストが低い可能性もあります。

ここらへんの数値化についてはかなり難しいそうですが、いずれ専門家に会ってお話をお伺いしてみたいです。

 

それと、問題はCO2の排出のみならず生物多様性のバランスが崩れてしまうところにもあります。

木を切り、森から持ち出すと言うことは自然撹乱(山火事や台風などによる倒木等)との大きな違いで、そこに在る生物に多大なる影響を与えます。環境に配慮した林業施工に於いては、どのエリアで、どの種類の木を、どれくらいの量を切るか、という判断は非常に難しいそうです。それは、生物多様性をどの角度から見るかによって答えが変わってしまうからです。というか、もしかすると絶対的な答えはないのかもしれません。

そして、環境に配慮しながら林業施工するということは切れるはずの木を残しながら施工(全てがこの方法ではないそうですが)していくわけですから事業の売り上げを落とすことにほぼ直結してしまいます。

生物多様性を維持しながら林業を事業として継続して行く事は本当に難しいと思います。

ですがその様なジレンマを抱えながらも未来の事を真剣に考えながら取り組むスタンスこそが非常に大切なのではないかと思います。(私もそのジレンマを抱えながらもがく一人です)

そういったわけで現在は環境に配慮した林業施工を行なっている下川町と中川町から木材を仕入れております。(他にもそのような仕入先があれば是非知りたい!)

 

そして現在、私の至った結論は、森の生物、木材を供給してくださる林業事業者の方々が幸せなのかを肌で感じながらギターを作りたいということ。それを感じる為に木材生産の現場に通っています。飽くまでも私の主観に過ぎないので言ってしまえば自己満足かもしれませんが、少なくともそう感じていないと納得してギター作れません。

 

こういったことを知れば知るほど地元の木材を使って行くことの先に地球にとって良いギター作りのヒントがあるような気がしています。今はそれを信じて突き進みます。

 

長文読んでいただきありがとうございました!

共感してくれた方はご注文お待ちしております。笑

 

 

 

以下補足です。

 

私のギター作りの対局にあるともいえる存在、原材料の供給や生産をアウトソーシングしまくり生産コストを削って価格を抑えたギター、つまり入門用ギターが世に存在するわけですが、それも否定するつもりはありません。入門用ってめちゃくちゃニーズあります。私も中学生の時に恩恵に預かった一人です。間違いなくそのおかげで今の自分があります。

そして当時に比べればクオリティもどんどん上がり、コストパフォーマンスが素晴らしいものばかりです。

これはこれで存在意義があると思います。

 

そしてこの、供給や生産をコスト減の為にアウトソーシングしまくった結果、地元産業が廃れると言う現象、これあらゆる産業で起きている事ですが、もちろん木材業界も例外ではありません。

丸太から板に挽いてくれる製材屋さんが減っていってます。

これだいぶ深刻なんだよなぁ。