ES-345、セットアップで音質改善

ビンテージのGibson ES-345お預かりしました。バリトンスイッチは外されているので配線は335仕様といったところでしょうか。

 

こちら、更なる音質向上の為にリペアやカスタマイズを行なっているうちに、なんだか逆にイマイチな方向になってしまったらしく、どうにかできないかというご相談でした。

 

アンプで鳴らしてみると、この風格の割に(と言っては大変失礼なのですが)無難な音で、決して悪い音ではないのですが何かときめくものがない、そんな感じがしましてオーナー様のお気持ちを激しく共感できた次第でありました。

 

ピックアップを元に戻したりと色々と方法はあると思うのですが、今回はセットアップだけでどこまで改善できるか、というテーマで作業させていただきました。

ネックの反り、ブリッジとナット溝の調整による弦高調整はいつも通りバシッと決めましたので写真は割愛。

今回の音色の改善で特に効果があった部分をご紹介します。

こちらはマイクの役割をしているピックアップのポールピースの高さを調整しているところです。

ピックアップ自体の高さをそれぞれ調整した後に各弦毎に高さ調整します。弦にポールピースを近づけると音量が増えていきますが、音色も変わっていきます。これと言って決まった数値があるわけではなく、アンプで音を出しながら『ここだ!』というポイントを探して行きます。これほんと重要です。侮るなかれ、なポイントです。

今回は私の感覚に一任していただいたので、完全に自分の好みの感じにさせていただきました。

今回一番効いたなと感じたのがこちら!テールピースの高さを、あえて上げています。

それによりブリッジ向かっていく弦の角度が変わり、ブリッジにかかる力加減が変わるのでサウンドも変化します。(確かラリーカールトン大先生もこんな感じのセッティングでしたよね?)

テールピースの上げていくと良い意味でルーズで倍音の豊かなサウンドになっていきます。(逆に下げると弦の角度がキツくなりタイトなサウンドになります)

 

全ての作業を通して、結果的にはローミッドの成分が増え、色気のあるリッチなセミアコサウンドになりました。

オーナー様にもご満足いただけて何よりでした!