Rickenbacker 620 フレット交換

ヴィンテージのリッケンバッカー620、フレット交換にてお預かりしました。

かなり弾き込まれていますね。

交換の作業を始める前に現状の把握。いきなりフレットを抜いたりしてはいけません。

トラスロッドの効き具合、稼働範囲等を入念にチェックします。

そうする事で指板修正の際に削るポイントを明確にします。

トラスロッドの効き具合を確認した後は速やかにフレットを抜きます。

リッケンバッカーは指板面に塗装が施されているので先ずはこれを除去。分厚いラッカーなので取り除くのが大変です。スクレイパーを使って先ずは大まかに削り取っていきます。

塗膜が除去できればあとはいつも通り、丁寧に指板面の調整をします。

指板材はブビンガという木材で指板材としてはあまりメジャーではありませんが、ローズウッドの仲間で油分も多めの木材なのでこのまま磨き上げて、塗装無しの仕上げでも使用上問題はありません。

ですが今回は「リッケンバッカーらしい仕上げを!」という事で塗装ありで進めていきます。

 

リッケンバッカーオリジナルの手法であれば、フレット打後にフレットごと塗装、すり合わせ時にフレット上の塗膜除去、という工程になります。ブビンガの大きい導管を埋めるためにコッテコテにラッカーを吹き付けているわけなのですが、そうすると本来のフレット高さを活かせないので機能としてはマイナスになってしまいます。正にリッケンバッカーの見た目をオリジナルで再現したいという場合はこの方法がベストですが、機能性を維持しつつリッケンバッカーらしい見た目を得る為に良い方法は無いかと考えました。

それは

・フレット打ち前にブビンガの導管を埋めるための極薄の下地を塗布

・研磨で指板面を再成形

・フレット打ち

・仕上げのラッカー塗布

・すり合わせ時にフレット上の塗膜除去

・仕上げ、セットアップ

 

という工程です。導管を埋める、という工程をフレット打ち前に行う事で作業性が良くなり、結果トータルで塗膜を薄くすることができ、本来のフレット高を維持できます。

塗装を完全に仕上げた後にフレット打ちを行った方が更に作業性は良いのですが、少しでもフレットの下に塗膜が無いほうが振動伝達が良いので手間は惜しみません。

下地の塗布、指板面の再成型が完了したところです。

導管はしっかりと埋まり、塗膜は0,1mm以下の極薄です。

フレットを打ち込んでいきます。バインディング部分のタングの切り欠きも丁寧に1本づつ行います。

全て打ち終わり、最終の塗装前にすり合わせもほぼ終わらせた状態にしておきます。

ラッカー吹き付け後、しっかりと乾燥させた後に軽くバフを当てて経年変化で塗装が痩せたような状態を再現。トップコートが色焼けしたような色合わせも行いました。

新しいフレットの高さに合わせたナットも新規製作。黒色のコーリアン(人工大理石)で作りました。

ナット上面の成型もリッケンバッカーらしい感じにしてみました。

ケースを開けた時に、先ず仕上がりの美しさに感動していただけるような作業を心がけています。

フレット交換の他に、元気系統のチェック、クリーニング、ブリッジの移設(オクターブチューニングが合っていなかった為)を行い、万全の状態になりました。

オーナー様にもご満足いただき、嬉しい限りです。

 

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