ブリッジの質量について考える

先日ブリッジ交換を承ったこちら。

 

 

弦の支点であるブリッジ。そもそもこれがないと弦が張れませんから、重要パーツであることは間違いありません。

機能的には弦高、弦ピッチ、オクターブチューニングに関わってきます。

様々なメーカーが沢山の商品を出していますが、ベースブリッジでは質量によって音の変化を狙ったものが多い気がします。

 

そして今回のカスタマイズもまさにそれを狙ったものでした。

 

元々付いていたブリッジより質量のあるものを取り付けたところ音がグッと変わりました。その理由を考えてみます。

今回の取り付けたブリッジ。

手前が元々付いていたもの。

ここからはブリッジの『質量(重さ)』と『音』の関係について僕の考えを書いてみようと思います。

 

重たいブリッジにすると重たい音(低音)がでる。軽い素材のブリッジにすると軽やかな乾いた音になる…等と巷では言われているようです。

傾向としてはそうだと思いますが、実際にはもっと複雑なことが起きていて、他の部位とのバランスや組み合わせこそ重要だと僕は思うのです。

 

先ず、楽器の音の出発点はプレイヤーが弦を弾くことです。この弦振動がブリッジを通してボディに伝わりボディが振動します。そしてそのボディの振動がブリッジを通して弦にフィードバックします。普段何気なく弾いている一瞬のうちにこのようなことが起きています。

 

エレキの場合、プレイヤーが弾いた元々の弦振動とボディ振動(実際にはネック振動も)が複雑に混じり合ったものがピックアップ、アンプを通して聞こえてきます。

同じピックアップやアンプでも音色が違うのはこの為です。この違いこそが音色の個性になるわけですね。

 

話の焦点をブリッジに戻します。

 

つまりブリッジが音に果たす役割とは、弦振動とそれによって生まれたボディの振動の橋渡し役ですね。(あ、だからブリッジなのか…!)

 

橋渡し役なのでブリッジそのものというよりもボディとの組み合わせが重要なのです。

 

 

今回は交換したブリッジがボディの鳴りを引き出してくれたということでしょう。

ブリッジ交換前に比べてLow~Midがガツンと出てくれる感じになりました。

 

重たいブリッジであるほど、弦振動がボディにロスなく伝わります。

つまりボディ本来の鳴りを引き出してくれるのです。

 

逆のアプローチも考えられますね。

ベースではあまりないかもしれませんが、Lowが出すぎるギターを軽い素材のブリッジにするとカラッとした抜けの良いサウンドになる傾向があると思います。

 

 「ピックアップを変えたがイマイチしっくりこない」というかたはブリッジ交換でボディの鳴りをコントロールするカスタマイズはいかがでしょうか?

 

とはいえ沢山のメーカーが様々な種類のブリッジを発売している昨今。適切なブリッジを選ぶのは難しいでしょう。

どういう出音にしたいか、そのために楽器全体の振動をどうコントロールすればよいかは楽器によって異なります。

「どのブリッジにしていいかわからない!」という方はご相談ください。