リフレット

2ノブ仕様が渋い、60's風のジャズベース。こちらは作業後の写真。

 

リペアに出したが順反りが治らず、トラスロッドも効かないようなので指板交換お願いします。

と、とある日メールをいただきました。

遠方だったこともあり後日楽器のみを送っていただき診断。

確かにトラスロッドの効きはやや渋い感じでしたが、ロッドナット部分をグリスアップすることでほぼ改善。

ロッドの効き幅は十分でしたが、ロッドが効くポイントが悪く、ナット部分を締め込んでも順反りが残っている状況でした。

つまりロッドを効かせても、超順反り~順反りの間でしか動いてくれないということです。

しっかりと指板修正、フレット交換で対応させていただきました。

 

前回リペアはの良くなかった点は、フレットすり合わせで直せる限界を超えた状態にもかかわらずフレットのすり合わせのみで対応しようとしたことです。結果的にローポジション、ハイポジションのフレットの高さが無くなってしまっていました。

低すぎるフレットに合わせてナット溝を加工した結果、画像のようにナット上部の木部にも傷が入ってしまいます。
ネックの状態によっては止むを得ずこのようになってしまう場合もありますが、事前にこのような結果になることをお伝えし、相談することが大事だと思います。

フレットを抜き指板表面を修正。写真は途中の段階ですが、前回のリペアがどのようなものだったかがわかります。

ローポジション、ハイポジションを重点的にヤスリで削りながら指板表面の状態(横方向のR、縦方向の直線、ヤスリのキズ)を整えます。

削りすぎは勿論厳禁ですが、必要なところまでしっかり削り込むことが大事です。

紙やすりの番手を上げて仕上げます。

かなりの順反りだったため、あらかじめ指板の修正だけではベストな状態に持っていくのが困難と予想されました。そのため、フレット溝にも一工夫。

溝に対してキツめにフレットを打ち込み逆反り方向に動くようにしています。フレット溝自体を加工をするときもありますが今回は溝はそのままに、タング(指板に埋まっている部分)の幅が広いものを打ち込んで逆反り方向に動くようにしています。実はフレットのタング部分にも幅の種類があるのです…!

これでようやく真っ直ぐなネックになりました。

前回のリペアでキズが入っていしまっていた部分。無理のない形に削り込んで塗装のタッチアップをします。

新しいフレットに合わせてナットも新規製作しました。
ナット上部の木部もタッチアップ済みです。
すべての仕事に言えることですが、しっかりとした楽器の診断とお客様とのしっかりとしたコミュニケーションが大切ですね。