『場所の為のギター』プロジェクト!②

前回このプロジェクトの概要をお伝えしましたが、今回は楽器のコンセプト等をお伝えします。

まずは完成イメージ画像です。

このように、オーダーメイドの際は、打ち合わせ時に完成イメージ図を作ります。

 

オーダーメイドにおいて、仕様を決めている段階が一番ワクワクするといっても言い過ぎではないと思います。

ワクワクの反面、最終的な仕上がりイメージをお客様と共有するのは意外と難しいものなのです。

 

ですが、製作前にここまでイメージ画像で仕上がりを共有してしまえば、「あれ?この辺思ってたのと違うな…」なんてこともありません。

 

 

 


話はそれましたが、楽器を構成している木材をご紹介します。

 

表板:マホガニー

側板:マホガニー

裏板:(左から)キューバンマホガニー、シカモア、ココボロ

ネック:マホガニー

指板:エボニー



 

 

裏板が気になるところですが、まずは狙う音色について…


谷戸で響く、というのが今回のテーマですが、あえて「鳴りすぎない」楽器を目指しています

とにかく谷戸という地形は独特な音の響き方をします。その中で心地よく響き、ときにアグレッシブに鳴る事が今回の楽器のテーマです。

トップ材には一般的に良く使われるスプルースではなくマホガニーを使用し、個性のある中音域を作り出します。

材の個性を生かすために、製作中の(楽器の音色作りという意味での)チューニングのセンスが問われそうです。

 

 

 


さて、気になる裏板には、3種類の木材(高級&レア材!!)を使っています。

 

裏板だけで3種類の木材を使うということは通常はありません。

専門の方には「雑音が出るのでは?」と言われてしまいそうですが、このような仕様にしたのには理由があります。

 

楽器全体を構成している木材の産地と、ラクダ盤のメンバーのルーツミュージックが生まれた国や地域に関係があるのです。

アフリカ(マホガニー)、キューバ(キューバンマホガニー)、ブラジル(ココボロ)、バルカン地方(シカモア)といった具合です。

このアイディアは、やすさんから頂きました。浪漫を感じます。





このようにした意図としては、このギターに特別な意味で『魂を込める』ということです。

 

 

 


良い楽器とは何か?


 

 

作り手も弾き手も、時としてこの疑問にぶち当たる事がある訳です。

その重要な要素の一つとして、弾き手が魂を込めやすいかどうかということがあると思います。

分かりやすく言うと、弾き手の気持ちがノッてくるような楽器かどうか。

 

 

 

 

音の良さ、弾きやすさ、弾いた時のネックやボディを伝わってくる振動。

弾き手の五感を震わせるものがあるかどうか。

道具としての良い「楽器」というだけでなく、良い「相棒」であるということかもしれません。

 

 

 


様々な音楽をルーツとしているメンバーが集まって一つの音楽を奏でるバンド。

同じことが一つの楽器の中でも起こっている。

 

浪漫を感じます。


 

 

 

あの谷戸で聞いた音や風景を思い浮かべながら、僕の感性をすべての作業に注ぎ込み、最高の仕上がりにしていきます!

先日、側板は曲げ終わりました。